市立船橋、死球を乗り越えた結束力で甲子園へ 主砲花嶋大和の執念が導く熱闘
市立船橋高校が死球を乗り越え、3年ぶりに甲子園出場を決めた。主砲花嶋大和の執念とチームの結束力が勝利を掴んだ。

死球を乗り越えたチームの結束
第107回全国高校野球選手権千葉大会の決勝戦で、市立船橋高校が八千代松陰高校を8-7で撃破し、3年ぶり7度目の甲子園出場を決めました。この勝利の背景には、主砲・花嶋大和捕手(3年)の執念とチームの結束力がありました。
花嶋大和の奮闘
6回表、2死二、三塁の場面で花嶋が顔面に死球を受け、一時は試合続行が困難と思われました。しかし、約8分後、花嶋は捕手のポジションに戻り、チームを鼓舞しました。左頬にガーゼを貼った姿で戻ってきた花嶋に、エース・川崎耕司投手(3年)は「大丈夫かな、と思いましたが、あいつの方から『ここから先は全開で行くぞ!』と言ってきたので驚きました」と振り返りました。
延長戦のドラマ
3-3の同点で迎えた延長10回、八千代松陰に4点を奪われるも、その裏の攻撃で市立船橋が逆転劇を演じました。無死満塁の場面で小島直大外野手(3年)が押し出し四球を選び、続く花嶋が右翼フェンス直撃の2点二塁打を放ち1点差に迫りました。その後、犠飛で同点に追いつき、最後は川崎が中前へサヨナラ打を放ち、熱戦に決着をつけました。
海上監督の決断
死球を受けた花嶋を試合に出し続けるかどうか、海上雄大監督は迷いましたが、「花嶋中心でここまで3年間チームをつくってきたので、本人に出たいという意志があるのなら」と決断しました。海上監督は「理学療法士の先生の判断も『本人が大丈夫であれば……』とのことでした。しっかりした目をしていたので、やってくれるかなと思っていたら、最後にきっちり打ってくれましたね」と主砲の一打に目を細めました。
チームの成長
市立船橋は花嶋を中心に3年生がよくまとまっています。海上監督は「3年生は選手だけで47人、マネジャーを含めると52人の大所帯(全部員数は116人)ですが、1人も辞めずにここまで来ました。珍しいことです」と3年生の頑張りを称えました。主将の田中健人内野手(3年)は「きついことがあったとしても、みんな野球が好きだから頑張れる。それがチームワークの良さにつながっていると思います」と語りました。
甲子園への期待
この日、両チームの応援席で演奏された、市立船橋の“市船ソウル”と八千代松陰の“青のプライド”は、いずれも高校野球を代表するチャンステーマとして知られています。球史に残る熱闘の末、勝利を掴んだ市立船橋ナインの甲子園での躍動に注目したいと思います。