慶大大学院生が日本人初出場したジュニア世界グライダー選手権
慶應義塾大学航空部の松本健吾が、FAI ジュニア世界選手権に日本人で初出場。グライダー競技で活躍する松本健吾の経歴と、風を読む秘訣を紹介。

慶大大学院生が日本人初出場したジュニア世界グライダー選手権
慶應義塾大学航空部の松本健吾(修士 2 年、慶應義塾)が、昨年、FAI(国際航空連盟)ジュニア世界選手権(25 歳以下)に日本人で初めて出場するという快挙を成し遂げた。
松本は、慶應義塾高校に入学後、高校の航空部で体験搭乗に参加し、グライダーと出会った。入部した松本は、高校 2 年で全日本高校滑空選手権の個人と団体で優勝するなど早くも頭角を現す。慶應大 3 年時には早慶対抗戦で個人優勝し、4 年では東京六大学対抗、関東学生、全日本学生、早慶対抗の個人戦で全て優勝した。
グライダーは大きなウィンチやプロペラ機に引っ張られて離陸する。滑空するだけでは徐々に高度が下がってしまうため、上昇気流(サーマル)の中で旋回して高度を上げる「サーマリング」と呼ばれる技術が必須だ。
松本は「サーマリングって同じ地点にとどまって旋回するので、(ゴールへ向かう)速度は『ゼロ』なんです。なので一番強いサーマルで一気に高度を上げて、サーマリングの回数を減らすのが、速さ(タイム短縮)につながる」と説明する。
風を読む秘訣は「理論はあるけど、結局は感覚」
松本は、「雲の下には上昇気流がある。また、日射が当たると(森などの)植物よりも(街なかの)建物の屋根の方が熱気が発生し、上昇気流を生む」と説明する。
正野篤士監督は「慶應から世界に通じる人材を輩出できたことは非常に誇らしい」と語る。松本の技量について、「計器を見るだけでは上昇気流にあたったときに反応遅れが生じてしまうので、自身の感覚と併せて気流の状態を正確に早く把握する必要がある。どこに上昇気流があるかは、雲の様子やほかの機体の動きを見るだけでなく、マクロな気象も考える必要がある。この 2 点が優れている」と評価する。