マックス・フェルスタッペンのハードタイヤ戦略が招いた苦難:2025年F1スペインGPレポート
2025年F1スペインGPで、マックス・フェルスタッペンがハードタイヤでのリスタートで苦戦し、表彰台を逃した詳細レポート。

2025年F1スペインGPは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンにとって苦難のレースとなった。3番グリッドからスタートしたフェルスタッペンは、ランド・ノリス(マクラーレン)に抜かれた後、13周目に最初のピットストップを行った。この時点で、フェルスタッペンは3ストップを計画していたが、トップ2のマクラーレン勢とは異なる戦略を取った。
レース中盤、フェルスタッペンは一時的にレースをリードしたが、3回のタイヤ交換を終えた後は3番手に後退。終盤にセーフティカーが出動したことで、ほとんどのマシンがタイヤ交換を行い、ユーズドソフトタイヤで最後の数周を戦う準備をした。しかし、フェルスタッペンは追加のピットストップ時に新品ハードタイヤを装着され、リスタートで著しく不利な状況に陥った。
フェルスタッペンは最終コーナー出口でコントロールを失いかけ、シャルル・ルクレール(フェラーリ)に抜かれてしまった。さらに、ジョージ・ラッセル(メルセデス)が仕掛けてきた結果、フェルスタッペンはコース外を走り、コーナーをカットしてラッセルの前でコースに戻った。ペナルティを恐れたレッドブルは、フェルスタッペンに対し、ラッセルの後ろに下がるよう指示した。
その後、フェルスタッペンは5位でフィニッシュしたが、ラッセルに対しての行為にスチュワードが10秒ペナルティを科したため、正式リザルトは10位となった。さらにペナルティポイント3が加算され、過去12カ月の累積が11ポイントとなり、自動的な出場停止処分まであと1ポイントという状況に陥った。
フェルスタッペンはレース後、『Sky Sports F1』に対して次のように語った。
「セーフティカーが出て、ピットインしなければならなかったのは不運だった。でも、それがレースというものだ。うまくいくときもあれば、そうでないときもある」
「終盤に残っていた唯一の新品タイヤはハードだったので、他の全員がソフトタイヤを履いている中で、僕たちはハードに交換するという判断を下した。残念ながら、ハードタイヤはとてもグリップが低く、状況をかなり難しくしたので、それがかなりフラストレーションになった」
「残り6周しかなかったため、他のドライバーたちは全開でプッシュし、僕たちはかなり苦戦した」
「もちろんソフトタイヤでステイアウトするという選択肢もあった。後になって言うのは簡単だ。でもその時点で僕たちが下した判断は、ハードで行くというものだった」
「その結果、リスタートで困難な状況に陥り、ポジションを返すことにもなった。その際にいろいろなことが起こり、僕たちは10秒ペナルティを受けた」
「レースの中では、持てるものを最大限に生かし、できることはすべてやった。でも、マクラーレンに対抗できるほどのペースはなかった」
「最終的には、今日のことからポジティブな点を見つけるしかない。改善できることは常に存在する。そして、今日はタイヤのデグラデーションを考えると、3ストップは正しい判断だったと分かっている」
フェルスタッペンは、ハードタイヤが正しい選択ではなかったと認めつつも、レース中の判断を後悔することはないと語った。
[オートスポーツweb 2025年06月02日]