ズベレフの新たな挑戦:トニ・ナダル氏とのコーチ就任が幻に終わる
ズベレフがトニ・ナダル氏とのコーチ就任を期待していたが、多忙を理由に幻に終わった。今後の彼の挑戦に注目が集まる。

2025年7月中旬、スペイン・マヨルカ島のラファエル・ナダル・アカデミーで撮影された練習動画が大きな話題を呼びました。そこには、同アカデミーで練習に励むアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ/世界ランキング3位)が、トニ・ナダル氏(64歳)の助言を受ける姿が映し出されていました。この映像は、男子テニス界の新たなタッグ誕生を予感させるものでした。
しかし、その後、トニ氏が多忙を理由にコーチ就任を断ったという報道が浮上しました。トニ氏はアカデミー運営や講演活動、マヨルカでの大会ディレクターなどの仕事で忙しく、ズベレフと世界中を回る余裕がないとのことです。その一方で、ズベレフに対しては、いつでもマヨルカに来てアカデミーでトレーニングできるよう申し出ています。
トニ氏は、ズベレフの課題についても言及しています。
「もし彼がグランドスラム(テニス四大大会)を勝ち取り、そのチャンスをつかみたいのなら、少し心構えを変える必要がある。彼には勝つ能力があるが、勝利というのは“メンタリティ”の問題だ」
これは独メディア『Sport.de』の取材に応じた際のコメントで、技術面よりも精神面の改善こそが鍵であるとの見立てを示しました。
28歳のズベレフは、すでにグランドスラム決勝に3度も進出していますが、いずれも準優勝止まりです。2024年の「全仏オープン」決勝で戦ったカルロス・アルカラス(スペイン)、そして今年の「全豪オープン」決勝で戦ったヤニック・シナー(イタリア)という若手2強の台頭が著しく、タイトル獲得への道のりは決して容易ではありません。
トニ氏の帯同が叶わなかったズベレフは今後、これまで通り父親とのタッグで悲願のグランドスラム優勝を目指すことになるのか。それとも別の指導者を招聘する道を選ぶのか。本人は「カナダ・マスターズまでには答えが出ると思う」と語っていましたが、開幕が迫る今、その決断の行方が一層注目されます。