大嶽部屋の継承と大鵬道場の伝統:相撲界の新たな章
大嶽部屋の継承と大鵬道場の伝統について詳しく解説。相撲界の新たな章を切り開くストーリー。

大嶽部屋の歴史と継承
大嶽部屋は、昭和の大横綱として知られる大鵬を源流に持つ相撲部屋です。昭和44年9月に大鵬が一代年寄「大鵬」を贈られ、昭和46年5月に引退しました。同年12月に二所ノ関部屋から独立し、「大鵬部屋」を興しました。平成16年1月には、娘婿だった元関脇貴闘力が師匠となり、部屋の名称も大嶽部屋に変更されました。平成22年7月には、現親方が継承し、現在に至っています。
部屋継承の承認と新たなリーダー
日本相撲協会は、先の理事会で大嶽部屋の代替わりを承認しました。9月の秋場所後、大嶽部屋と同じ二所ノ関一門の片男波部屋付きの熊ケ谷親方(元幕内玉飛鳥、42)が年寄「大嶽」を襲名し、同部屋を継承します。9月下旬に65歳の誕生日を迎え、協会の定年を迎える大嶽親方(元十両大竜)は年寄「熊ケ谷」として協会に再雇用され、大嶽部屋の部屋付きとなります。継承後も部屋は現状のまま使われる予定です。
大鵬道場の精神
東京・江東区にある大嶽部屋の玄関には、部屋の看板とは別に「大鵬道場」と記された看板も掲げられています。道場を名乗る看板はほかに、時津風部屋(墨田区)の中興の祖である不世出の大横綱双葉山にちなむ「双葉山道場」があります。ともに気高い精神性が、門前を包み込んでいます。
大嶽部屋の未来
大嶽部屋には、大鵬の孫にあたる幕内王鵬(25、三男)、十両経験者の幕下夢道鵬(23、四男)、幕下納谷(27、次男)の3兄弟ら9人の力士が所属しています。今回の継承において、他の部屋へ吸収される案も浮上しましたが、大嶽親方は「大鵬部屋に源流がある部屋の名前をどうしても残したかった」と語りました。先代が不祥事を起こして協会から解雇され、部屋存続の危機に直面したとき、大嶽親方は大鵬さんから頭を下げられ、懇願されました。「どうか部屋を継いでほしい。頼む」。それでも、同親方は一度ならず、二度までも首を横へ振って固辞したそうです。「師匠に2度も頭を下げさせてしまったことをいまでも申し訳なく思っている。そこまでお願いされた部屋をつぶすわけにはいかなかった」。重い名跡に対する責任感をにじませています。
相撲界の新たな章
大嶽部屋の継承は、相撲界にとって新たな章を切り開く重要な出来事です。大鵬道場の伝統と精神を受け継ぎ、新たなリーダーシップのもとで、さらなる発展が期待されています。