【第86回オークス】千田調教師の15年の挑戦:G1初の2頭出しで勝利を目指す
第86回オークスで、千田輝彦調教師が初めてG1に2頭を送り込み、15年の挑戦に臨む。パラディレーヌとタガノアビーの活躍に期待が集まる。

千田調教師の15年の挑戦
第86回オークス・G1(5月25日、東京・芝2400メートル)に、千田輝彦調教師がパラディレーヌとタガノアビーを送り出す。開業15年目にして初めてのG1での2頭出しとなる。千田調教師は「鍛えるより気分良く」という信念を貫き、騎手時代の同期・岡潤一郎さんへの思いも胸にレースに臨む。
パラディレーヌの信頼
パラディレーヌは全4戦で馬券圏内と底を見せており、母馬は短距離馬だったが、体形や普段の息遣い、しぐさ、騎手の話からも距離は問題ないと信頼されている。千田調教師は「一気の3ハロン延長にも愛馬を信頼する」と語る。
タガノアビーのチャンス
タガノアビーは連闘で1勝クラスを勝って挑む。千田調教師は「つらいローテを組んじゃったけど、よく勝ってくれた。体もすぐに戻って元気。前走も上がり33秒3だからね」と展開次第でチャンスをうかがう。
近年の好調
千田調教師の厩舎は23年に初めて年間20勝を超え(26勝)、昨年は21勝、今年も9勝と通算216勝(20日現在)をマーク。近年の好調について千田調教師は「お馬さんが頑張ってくれてます。あとは竹之下がウチに来てから、(自分が)調教に乗らなくなったのがいいんじゃないかな」と冗談まじりに話す。
騎手時代の思い出
千田調教師は88年に栗東・伊藤雄二厩舎から騎手デビュー。師匠のつながりで藤沢和雄元調教師とも話す機会が多かった。「馬は鍛えるより、気分良く走ってもらえるようにと接してきました。伊藤先生や藤沢先生の考え方もそう。僕らは馬にお願いするだけですよ」と笑う。
同期への思い
千田調教師は同期で若手のホープだった岡潤一郎さんが93年、レース中の落馬で24歳という若さで亡くなったことを忘れない。今でも命日の前後で京都競馬場に行くと、事故のあった4コーナーを向いて手を合わせ、可能な限り岡さんの家族が住む北海道・様似町にも足を運んでいる。「親友と言ってくれてました。岡が騎手としてG1(91年エリザベス女王杯、リンデンリリー)を勝ったので、自分は調教師でとりたい。岡がG1を1勝でしたから、その先の景色を見せてやりたいです」。まずは今週末に大仕事をして、天国の親友に最高の報告をしてみせる。
千田輝彦調教師のプロフィール
千田輝彦(ちだ・てるひこ)1969年8月23日、神奈川県生まれ。55歳。88年3月に栗東・伊藤雄二厩舎から騎手デビューし、08年11月に引退するまでJRA通算278勝を挙げた。栗東・藤岡健一厩舎で調教助手として経験を積み、10年2月に調教師試験に合格。20日現在、JRAで216勝。重賞は15年ファルコンS(タガノアザガル)の1勝。趣味はなく、自らを「馬大好きおじさんだから」と笑い、トレセンが全休日の月曜も牧場に行き「馬がいると安心する」と話す。