横綱豊昇龍の日本国籍取得

モンゴル出身の横綱豊昇龍が、将来的に日本国籍を取得する意向であることが明らかになりました。日本相撲協会は、力士が引退後に親方として後進を指導するには日本国籍が必要だという規定を設けています。豊昇龍は近くモンゴルに帰国して大統領に会い、国籍変更の承諾を得る予定です。

親方の「国籍規定」の背景

親方の「国籍規定」が作られたのは1976年。その理由は明らかではありませんでしたが、2019年に明文化されました。相撲協会が諮問した有識者会議の提言書では、日本の歴史と伝統を吸収することを「入日本化」と表現し、それを力士らに求めています。しかし、歴史と伝統の中身は明確にしないまま、相撲道を教える立場の親方は日本に「根を張っている」と示すために日本国籍が必要だという理屈が展開されています。

外国出身力士の重要性

外国出身力士は大相撲に欠かせない存在です。最近の夏場所では、幕内力士42人のうち外国出身者は11人と4分の1以上を占めていました。2010年代半ばにはこの割合が4割に迫り、3横綱がすべてモンゴル出身だった時期もあります。

多様性と伝統のバランス

若くして日本の相撲界に身を投じ、厳しい稽古に耐え、伝統と習慣を学び、日本語にも熟達している外国出身力士。彼らのセカンドキャリアについて、ただ国籍を理由として親方への道を閉ざす方針が、多様性重視の時代に即しているとは到底思えません。引退直前に日本国籍を取得した元大関・琴欧洲の鳴戸親方（ブルガリア出身）は「パスポートで人は変わらない」と語っています。

今後の展望

伝統とされるものから何を引き継ぎ、何を変えるかを見極めるべき時です。大相撲が今後も発展し続けるためには、多様性と伝統のバランスをどのように取るかが鍵となるでしょう。