元NHK吉田賢アナ、フリー初仕事で大相撲の歴史を振り返る

元NHKアナウンサー吉田賢がフリー初仕事として阿武咲の断髪式を司会。大相撲の歴史的瞬間を振り返り、今後の活動について語る。

元NHKの吉田賢アナウンサー(65)が1日、東京・両国国技館で行われた阿武咲引退断髪披露宴の司会を務めた。5月いっぱいでNHKを定年で退局後、フリーとして最初の仕事になった。

断髪式の冒頭、「昨日(5月31日)をもちまして、NHKを退局いたしました。NHKのアナウンサーは断髪式の司会を務めることができません。私にとって記念すべき初日です」などとあいさつ。師匠の阿武松親方(元幕内大道)の止めばさみの直前には、阿武咲の功績を熱い口調で振り返り、断髪式を盛り上げた。

吉田アナが断髪式の司会を務めたのは、2022年2月5日の嘉風引退相撲以来。「(断髪式の参加者が)420人でしたので、最後は息切れするかと思いました」と謙遜しながらも、ベテランらしい安定した進行で阿武咲の最後を飾った。

大相撲中継に携わったのは、1987年秋場所から。今年5月の夏場所で最後の実況を終えるまで、約38年もの間、大相撲史に残る場面を目の当たりにしてきた。最も印象に残っているのは、2010年九州場所2日目の白鵬-稀勢の里戦。白鵬の連勝が63で止まった日だ。

この日の幕内実況を務めた吉田アナは「まさか私が、歴史的な日に立ち会えるとは思いませんでした。初めて、放送が終わってから足が震えました」と振り返った。当時、藤井康生、刈屋富士雄、吉田賢が3本柱として、主要な日を担当していた。白鵬が双葉山の69連勝を抜くことを想定し、68連勝は吉田、69連勝は藤井、70連勝は刈屋の各アナが担当する想定だったという。

「後輩たちから『大変ですね』と言われていましたが、歴史に残るのは負けた日なんです。まさか自分の時に止まるとは…。毎日、(取組前に)支度部屋で白鵬に話を聞いていました。負けた翌日も行くと、白鵬が指を差して『あっ、止めた!』と言って笑っていました」

当時、大相撲の人気は低迷し、白鵬の連勝が続いても不入りだった。「だから白鵬は負けて休場したくても、大相撲のためにも自分が休場しちゃだめだと言っていました。あれは忘れられませんね」。

吉田アナは今後、フリーの立場で仕事を続けていく。「長く大相撲の仕事に携わっていたので、大相撲の周辺の仕事をしたいです。断髪式や結婚式の司会もやりますし、一般の方から講演の依頼があったら引き受けます。NHKアナ時代も講演をやって楽しかった。大相撲が好きな人が集まって、喜んでくれる。そういう仕事をたくさんできればいいですね」。個人事務所を開設し、新しい名刺も準備中。自分なりのペースで続けていくという。【佐々木一郎】

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