大の里:最速昇進の新横綱、涙と努力の軌跡
新横綱・大の里の最速昇進と、彼を支えた恩師や努力の軌跡を紹介。涙と闘争心が織りなす物語。

2025年5月28日、茨城県阿見町の二所ノ関部屋で行われた伝達式で、大の里(本名=中村泰輝)は満面の笑みを見せた。わずか2年、13場所で横綱に昇進した彼は、史上最速の記録を打ち立てた。
少年時代の涙と努力
大の里が子どものころに通っていた少年相撲教室の元監督、森山昇さんは、彼の印象を次のように語る。
「小学生のときは心の優しい子だなというのが一番印象に残っています。学年が下の子の面倒をよく見ていましたから」
しかし、相撲の実力はどうだったのか。当時コーチとして指導に携わっていた長井恒輝さんは、次のように明かす。
「よく泣いていたという印象ですね。教室には、練習相手になるレベルの子がいなかったので、森山さんなど大人の私たちが稽古相手でしたから。だからこそ、つらい場面もあったはずです」
闘争心と勝利への執念
苦しい練習に耐える日々だったが、思うような結果が出ないことも多かった。
「県内の大会では負けることが多かったんです。表立って泣くことはないですが、タオルで顔を隠して、歯を食いしばりながら泣いてましたよ。次は絶対に勝ってやるぞという思いを持っていたはず。だからこそ“なぜ負けたのか”と、勝つために対戦相手の研究も熱心にしていました」
恩師の言葉と成長
森山さんがよく思い出すのは、出稽古の帰り道だという。
「出稽古が終わると夜8時半ぐらいなので、帰りに食事をするんです。私が“なんでも好きなものを食べろ”と言うと、小学生なのに大人顔負けの量を食べるんですよ。ラーメンから寿司まで、もうなんでも。遅くなると次の日に差し障りが出ますから、すぐに帰ろうと思っていたのに、まったく食事を終える気配がない(笑)。私が“もう帰るぞ”と言うまで食べていました」
大の里の成長は、涙と努力、そして恩師の言葉が織りなす物語である。彼の今後の活躍に期待がかかる。