女子テニス選手が過密スケジュールに抗議「睡眠不足では最高のプレーはできない」シンシナティOPでの苦悩
シンシナティ・オープンでベスト8進出を果たしたアンナ・カリンスカヤが、深夜試合と短いインターバルを強いられる過密スケジュールに抗議。WTAの大会運営に疑問を投げかける現地レポート。

過密スケジュールに揺れる女子テニス界
アンナ・カリンスカヤ(26歳/世界ランク34位)がシンシナティ・オープン4回戦突破直後、大会運営を痛烈批判。現地時間14日午前0時35分に終了したE・アレクサンドロワ戦後、午前4時就寝→11時次戦開始という過酷なスケジュールが選手のパフォーマンスに与える影響を問題視した。
タイムラインで見る異常な日程
- 23:00 試合開始
- 00:35 試合終了(3セットマッチ)
- 01:18 クールダウン動画をSNS投稿
- 02:40 会場帰宅
- 04:00 就寝
- 11:00 次戦開始(睡眠時間約7時間)
「回復に必要な睡眠リズムが崩れる」とカリンスカヤ。WTA規定では原則「試合終了後12時間の休息」が保障されるが、テレビ放映権との兼ね合いで深夜試合が常態化している現状に、現地メディアも「選手の健康管理vsエンタメ性のジレンマ」(ESPNコメンテーター)と指摘する。
選手生命にかかわる疲労蓄積
スポーツ医学専門家のジェイソン・ロバーツ博士は「深夜の高強度試合後、コルチゾール値が通常の3倍に上昇」とのデータを提示。テニス選手の場合、試合中の平均心拍数120-180bpm、1試合あたり5-8kmの移動距離という身体負担を考慮すると、回復期間の確保が競技寿命に直結すると警告する。
改革を求める選手たちの声
カリンスカヤの抗議を受け、元世界ランク1位のビクトリア・アザレンカは「2023年調査では女子選手の78%がスケジュール不満」と統計を引用。大会主催者側は「グローバルなタイムゾーン調整の難しさ」(広報担当)と釈明するが、選手協会では2025年シーズンから「ナイトセッション制限」導入の協議が進んでいる。
次戦のイガ・シフィオンテク戦を控えたカリンスカヤは「ファンのためにもベストを尽くすが、持続可能な環境整備が必要」と訴え。今大会の優勝賞金50万ドルを背景に、アスリートの権利保護とスポーツビジネスのバランスが問われている。