大相撲の舞台裏:式守伊之助の草履ミスと白鵬の快勝
平成28年夏場所での白鵬と稀勢の里の激突を振り返り、行司・式守伊之助の草履ミスとその後の巧妙な対応を紹介。

大相撲の緊張とミス
大相撲は、日々真剣勝負の世界であり、力士だけでなく行司や呼出しも厳格な階級制度の中で技を磨いています。特に行司は、土俵上での立ち居振る舞いがその階級を表し、草履を履けるのはトップクラスの三役格以上です。行司の卵たちは、早く草履を履けるようになることを夢見て、日夜厳しい修行に励んでいます。
平成28年夏場所の大一番
平成28年夏場所は、横綱白鵬と稀勢の里が全勝で並走し、大変な盛り上がりを見せました。特に13日目は、両者が負け知らずのまま激突し、勝った方が優勝に大きく近づく大一番でした。この取組をさばいたのは、立行司の第40代式守伊之助でした。
草履のミスと巧妙な対応
取組中、伊之助は両力士にぶつからないように素早く回り込みましたが、その途中で右足の草履がスルリと抜け落ちてしまいました。このミスに伊之助は内心冷や汗をかきましたが、白鵬が足早に動きながら、寂しそうに置き去りになっていた草履をポンと蹴飛ばし、それがちょうど伊之助の目の前に飛んできました。
伊之助は、両力士の動きを目で追いながら、まるで右足先にも目がついているように器用に草履を履き直すハイレベルのテクニックを披露。何ごともなかったような涼しい顔で、この大勝負を制した白鵬に高々と軍配を上げました。
館内の反応
この白鵬の快勝と、伊之助の見事な草履履きの妙に館内から大きな拍手が送られました。緊張した顔で花道をさがってきた伊之助は、「変なところで草履が脱げた。それに力士がつまづいたりしたら大変でした。何ごともなく収めることができてホッとしました」と胸をなでおろしていました。
まとめ
大相撲の舞台裏では、力士だけでなく行司や呼出しも日々緊張の中で技を磨いています。平成28年夏場所での式守伊之助の草履ミスとその後の巧妙な対応は、大相撲の奥深さと緊張感を感じさせるエピソードです。